危険物データリスト(第三類)

カリウム(K)

分類 カリウム
形状  固体(銀白色) 指定数量 10kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 63.2℃ 770℃ 0.86
用途 高温度計材料,還元剤,原子炉冷却材,触媒
性状
  • 水と爆発的に反応し、水素を発生し、発火する
  • 極めて有害な金属で、柔らかく反応性に富み、金属材料を腐食する
  • 吸湿性,潮解性があり、有機物に対しNaより還元作用が強い
  • 融点以上に熱すると紫色の炎を出して燃える
  • 水素,ハロゲン,リン,ヒ素,水銀と特に激しく反応
危険性
  • 長時間空気に触れると自然発火し、火災を起こす危険性
  • 燃焼時に有毒ガス(酸化K,過酸化K)を発生
貯蔵・取扱
注意
  • 貯蔵には金属製ドラム缶,ブリキ缶を用いる
  • 灯油,軽油等の中に浸し、空気に触れないように、暗所に密閉保存
  • 火気厳禁,禁水
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、泡,ハロゲン,二酸化炭素も不可
  • 消火剤は完全に乾燥した乾燥砂,乾燥石灰,バーミキュライト
  • 防護服着用

ナトリウム(Na)

分類  ナトリウム
形状 固体(銀白色) 指定数量 10kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
115℃ 120~125℃ 97.8℃ 881.4℃ 0.97
用途 NaOH原料,有機還元剤,原子炉冷却剤
性状
  • 水と爆発的に反応し、水素を発生し、自然発火する
  • 極めて有毒な金属で、柔らかく反応性に富み、金属材料を腐食する
  • 融点以上に熱すると黄色の炎を出して燃える
  • 水素,ハロゲン,リンと特に激しく反応
危険性
  • 長時間空気に触れると自然発火し、火災を起こす危険性
  • 燃焼時に有毒ガス(酸化Na,過酸化Na)を発生
貯蔵・取扱
注意
  • 貯蔵には金属製,プラスチック製ドラム缶,ブリキ缶を用いる
  • 保護液(灯油,流動パラフィン,軽油等)の中に小分けにして貯蔵
  • 火気厳禁、禁水
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、泡消火器,ハロゲン消火器,二酸化炭素も不可
  • 消火剤は完全に乾燥した乾燥砂,乾燥石灰,バーミキュライト等
  • 防護具着用

アルキルアルミニウム(R3Al)

分類  アルキルアルミニウム
形状 無色固体または液体 指定数量 10kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – -74~22 187~214 0.83=1.23
用途 合成洗剤原料,アルキル化剤,重合触媒
性状
  • 空気に触れると酸化反応を起こし自然発火する
  • 水と爆発的に反応し、水素を発生
  • アルキル基がAl原資に1以上結合した物質で、ハロゲンを含む場合もある
  • 炭素数が1~4:空気に触れると自然発火の恐れ
  • 炭素数が5以上:点火しないと燃焼しない
  • 炭素数が6以上:空気中で酸化し、白煙を生じる
  • 二酸化炭素,ハロゲン化物と激しく反応
危険性
  • 水と激しく反応して発火
  • 空気に触れ自然発火したとき、可燃性ガスや有毒ガスを生じる
貯蔵・取扱
注意
  • 貯蔵には耐圧性を有する鋼製ドラム缶,ステンレス容器を用い、移動タンクにも貯蔵可
  • 不活性ガス(N2,Ar,He)を封入し、空気,水に触れないよう密閉
  • 火気厳禁、禁水,空気接触禁止
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、泡消火器,ハロゲン消火器,二酸化炭素も不可
  • 消火剤は完全に乾燥した乾燥砂,乾燥石灰,バーミキュライト等
  • 防護具着用

アルキルリチウム(R3Li)

分類  アルキルリチウム
形状 黄褐色の液体 指定数量 10kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – -53 194 0.84
用途 重合触媒,グリニヤル試薬,反応試薬
性状
  • 空気に触れると白煙を生じた後、燃焼する
  • 水と爆発的に反応し、水素を発生
  • アルキル基とLiの結合物質で、少なくとも5種類の化合物が存在
  • CH3Li以外はエーテル,ベンゼン等に溶ける
  • 二酸化炭素,ハロゲン化物と激しく反応
危険性
  • 空気に触れ自然発火した時、可燃性ガスや有毒ガスを生じる
  • 湿気,酸素に敏感に反応し、爆発
貯蔵・取扱
注意
  • 貯蔵には耐圧性を有する鋼製ドラム缶,ステンレス容器を用い、移動タンクにも貯蔵可
  • 不活性ガス(N2, Ar, He)を封入し、空気,水に触れないよう密閉
  • 火気厳禁,禁水
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、泡,ハロゲン,二酸化炭素,リン酸塩類も不可
  • 消火剤は完全に乾燥した乾燥砂,乾燥石灰,バーミキュライト等
  • 防護具着用

黄リン(P4)

分類  黄リン
形状  固体(白色または淡黄色ロウ状) 指定数量 20kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 30~50 44 281 1.82
用途 マッチ,リン化合物の原料,農薬,殺鼠剤
性状
  • 約50℃で発火する
  • 水に不溶で、二硫化炭素,ベンゼンに溶ける
  • 猛毒で、暗所で青白色の光を放ち、ニラ臭がある
  • 蒸気比重4.4で、空気よりも重い
危険性
  • 発火点が低く、酸化物に触れると爆発
  • 強アルカリ性物質と接すると、有毒可燃性ガス(リン化水素)を生じる
  • 空気中で徐々に酸化し発火点に達すると自然発火し、猛毒の五酸化リン,三酸化リンを生じる
貯蔵・取扱
注意
  • 空気中で自然発火するので、鋼製ドラム缶,ガラス瓶等に密栓して水中に保存
  • 塩素,酸素,ハロゲン,硫黄,酸化剤との接触を避ける
  • 火気厳禁,空気接触禁止
火災時の
対応
  • 大量の水(霧状)での消化が最も有効
  • 他の消火剤としては湿った砂,泡,粉末,二酸化炭素
  • 消火後の再発火に注意
  • 黄リンの飛散に注意し、防護具着用

リチウム(Li)

分類  第一種自然発火性物質及び禁水性物質/アルカリ金属
形状 固体(銀白色の金属結晶) 指定数量 10kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 179 180.5 1347 0.5
用途 合金,真空管,触媒,原子炉材料
性状
  • 水に溶ける
  • 水,酸と活発に反応し、水素を発生
  • 有毒で柔らかい、最も軽い金属で、固体金属中比熱が最も大きい
  • 加熱すると200℃で深赤色の炎で燃焼し、酸化リチウムを生成
危険性
  • 固形は融点以上で発火,粉末は20℃で発火
  • 空気中で容易に酸化され、発熱・発火
  • アルカリと接すると水素を生じる
貯蔵・取扱
注意
  • 貯蔵には金属製ドラム缶,ステンレス容器を用いる
  • 灯油,軽油等の中に浸し、空気に触れないよう密閉保存
  • 火気厳禁,禁水
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、強化液、泡,ハロゲン,二酸化炭素も不可
  • 消火剤としては乾燥砂,バーミキュライト,リン酸塩類等以外の粉末
  • 消火後の再発火に注意
  • 防護具着用

ジエチル亜鉛((C2H5)2Zn)

分類  第一種自然発火性物質及び禁水性物質/有機金属化合物
形状 液体(無色) 指定数量 10kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
-28 117 1.2
用途 触媒
性状
  • ジエチルエーテル,ベンゼンに溶ける
  • 一定の融点なし
  • 水によって用に分解する有毒物質で、空気中で自然発火する
危険性
  • 空気と反応して自然発火する
  • 水,アルコール,酸と激しく反応して、不燃性ガス(エタンガス)を発生
貯蔵・取扱
注意
  • 容器に完全密封し、空気,湿気に触れさせない
  • 火気厳禁,禁水
  • 衝撃,摩擦を避ける
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、強化液,泡,ハロゲン化物,炭酸ガスも不可
  • 消火剤としては粉末消火剤を用いる

カルシウム(Ca)

分類  第二種自然発火性物質及び禁水性物質
形状 固体(銀白色) 指定数量 10kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 845 1494 1.6
用途 合金材料,Cu・Al・Feの脱酸剤
性状
  • 有毒で柔らかい金属で、水,酸と反応し水素を発生
  • 常温空気中で吸湿し、徐々に水酸化物,炭酸塩に変化
  • 空気中で強く熱すると燃焼し、酸化カルシウムを生成
危険性
  • 微粒子は空気中で自然発火
  • 水に接触すると、常温では徐々に、高温になると激しく反応し、水素を発生
貯蔵・取扱
注意
  • 貯蔵には金属製ドラム缶,ステンレス容器を用いる
  • 空気に触れないよう密閉して保存
  • 火気厳禁,禁水
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、強化液,泡,ハロゲン,二酸化炭素も不可
  • 消火剤としては乾燥砂,バーミキュライト,リン酸塩類等以外の粉末
  • 消火後の再発火に注意
  • 防護具着用

水素化ナトリウム(NaH)

分類  第二種自然発火性物質及び禁水性物質
形状 固体(灰白色結晶) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
800 0.92
用途 縮合剤,還元剤,アルキル化剤
性状
  • 水と反応し、水素を発生
  • 還元性が強く、金属酸化物から金属を遊離させる
危険性
  • 無臭有毒で、空気中の湿気で自然発火
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,ガラス瓶に密閉して、屋内貯蔵所に貯蔵
  • 火気厳禁,禁水
  • 酸化剤との混色を避ける
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、泡による消火も不可
  • 消火剤としては乾燥砂,消石灰,ソーダ石灰を用いる

炭化カルシウム(CaC2

分類  第二種自然発火性物質及び禁水性物質
形状 固体(灰色結晶) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 2300 2.2 2.5~81vol%
用途 アセチレンガス原料,製綱の脱硫剤,金属酸化物の還元剤,石灰窒素の原料
性状
  • 水と反応し、アセチレンガスを発生し、Ca(OH)2となる
  • 有毒で吸湿性があるが、乾燥空気中では安定
危険性
  • 水との反応で発生するアセチンレンガスは、有毒で爆発限界が広く、容易に爆発する危険
  • アセチレンは、銅,銀と爆発性化合物(アセチライド)を生成し、わずかな衝撃で爆発
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶、石油缶に密閉して、換気の良い屋内貯蔵所に貯蔵
  • 火気厳禁,禁水,禁湿
火災時の
対応
  • 注水厳禁
  • 消火剤としては乾燥砂,リン酸塩類等以外の粉末,二酸化炭素
  • アセチレンガス滞留による二次爆発に注意
  • 空気呼吸器を準備し、防護具着用

炭化アルミニウム(Al4C3

分類  第二種自然発火性物質及び禁水性物質
形状 固体 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 2200 2.37
用途 重金属酸化物の還元剤
性状
  • 水と常温で反応しメタンを発生する
  • 1400℃で分解してメタンを発生する
危険性
  • 常温でも、水に触れると発熱し、可燃性,爆発性のあるメタンを発生する
貯蔵・取扱
注意
  • 水分や湿気を避ける
  • 容器は密栓し、乾燥した場所に保存
  • 必要に応じ不活性ガスを封入する
  • 火気を近づけない
火災時の
対応
  • 注水厳禁
  • 乾燥砂による窒息消火が適している
  • 炭酸水素塩類系の粉末消火剤も適している
  • ハロゲンガスは不適

 リン化カルシウム(Ca3P2

分類  第二種自然発火性物質及び禁水性物質
形状 固体(暗赤色の塊状または粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 100~150 1600 2.51
用途 殺虫剤
性状
  • 水に溶ける
  • 可燃性の有毒物質で、アルカリには溶けない
危険性
  • 水,弱酸との反応で発生するリン化水素(フォスフィン)は、引火性が高く、毒性が強い
  • 水,弱酸と反応し可燃性ガス(リン化水素)を発生し、自然発火
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,石油缶に密閉して、屋内貯蔵所に貯蔵
  • 火気厳禁,禁水,禁湿
火災時の
対応
  •  注水厳禁。二酸化炭素,ハロゲン化物も不可。
  • 消火剤としては、乾燥砂,膨張ひる石,粉末等を用いる
  • リン化水素の引火性に注意
  • 防護具着用

 トリクロロシラン(SiHCl3

分類  第二種自然発火性物質及び禁水性
形状 液体(無色) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 -14 185 -126.5 32 1.34  1.2~90.5vol%
用途 半導体製造用ガス,光ファイバー材料,ケイ素誘導体合成原料
性状
  • 水に溶けて加水分解し、刺激性の強い強酸(HCl)と水素を発生
  • 有毒で刺激臭,揮発性があり、蒸気比重が4.70と非常に大きい
  • ベンゼン,ジエチルエーテル,二硫化炭素に溶ける
危険性
  • 引火性が低く、蒸気は遠くにまで滞留する
  • 発火点が低く、気温が上昇した場合発火しやすい
貯蔵・取扱
注意
  • ドラム缶等に密閉し、通気の良い屋内貯蔵所に貯蔵
  • ボンベに封入する際には30kg以下、タンクに貯蔵する際の容量は10m3程度とし、不活性ガスを封入する
  • 火気厳禁,禁水
  • 酸化性物質(特に第1類の危険物)との混色を避ける
火災時の
対応
  • 注水厳禁で、泡,強化液等も不可
  • 消火剤としては、二酸化炭素,粉末,乾燥砂を用いる
  • 空気呼吸器を準備し、防護具着用