危険物データリスト(第一類)

第一類 酸化性固体

塩素酸カリウム (KClO3)

分類 第一種酸化性固体/塩素酸塩類
形状 固体(無色,光沢の結晶または白色粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
368℃ 400℃ 2.3
用途 酸化剤,爆薬・マッチ・花火の原料,酸素発生剤(実験室用),殺虫剤,除草剤,防腐剤
性状
  • 水に溶けにくいが熱水にはとける
  • 無臭,有毒で強酸化性
  • 加熱すると約400℃で過酸化物になり、さらに加熱すると分解し、酸素を発生
  • 4KClO3 → KCl + 3KClO4,  KClO4 → KCl + 2O2
危険性
  • 燃焼にり有毒ガス(二酸化塩素)を発生
  • 可燃物と混在すると摩擦,衝撃,加熱で爆発の危険
  • 強酸,アンモニア等との接触で燃焼・爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,金属製容器に収納し、屋内貯蔵所に単独で貯蔵
  • 加熱,衝撃,有機物,硫黄,鉄粉等との混載を避ける
  • 火気厳禁
  • 加熱により容易に爆発するため、温度の高くないところで保管
火災時の
対応
  • 消火剤としては棒状および霧状の水,強化液,化学泡,リン酸塩類等の粉末を使用
  • 大量の水での消火が有効
  • 消火時に燃焼ガス(二酸化塩素)を吸入しないよう空気呼吸器等を使用
  • 爆発防止のため、遮蔽物を用いて消火作業を行う

塩素酸ナトリウム(NaClO3)

分類 第一種酸化性固体/塩素酸塩類
形状  固体(無色結晶または白色顆粒) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
248~261℃ 2.50
用途 酸化剤,マッチ・花火の原料,殺虫剤,除草剤,印刷用インキ原料
性状
  • 水,アルコールに溶ける
  • 無臭,有毒で強酸化性,潮解性を有する
  • 加熱すると過酸化物になり、さらに加熱すると約300℃で酸素を発生
  • 4NaClO3 → NaCl + 3NaClO4  , NaClO4 → NaCl + 2O2
危険性
  • 強い衝撃や摩擦により容易に爆発するため、丁寧に扱う
  • 燃焼により有毒ガス(二酸化塩素)を発生
  • 可燃物と混在すると摩擦,衝撃,加熱で爆発の危険
  • 強酸,アンモニア等との接触で燃焼・爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 潮解性があるため密栓し、湿度に留意して屋内貯蔵所に単独で貯蔵
  • 加熱,衝撃,有機物,硫黄,鉄粉等との混載を避ける
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 消火剤としては、水,強化液,泡,粉末を使用
  • 大量の水での消火が有効
  • 消火時に燃焼ガス(二酸化塩素)を吸入しないよう空気呼吸器等を使用

塩素酸アンモニウム(NH4ClO3

分類  第一種酸化性固体/塩素酸塩類
形状 固体 (無色結晶) 指定数量 50㎏
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 380℃ 2.42
用途 酸化剤,マッチ,花火,医薬品
性状
  • 水に溶けるがアルコールには溶けにくい
  • 強酸化性で非常に爆発しやすい
  • 不安定な化合物で、100℃以上で分解し爆発することもある
危険性
  • 強酸との接触で燃焼・爆発の危険
  • 燃焼により有毒ガス(二酸化塩素)を発生
  • 可燃物と混在すると摩擦,衝撃,加熱で爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 密栓し、換気の良い冷暗所で保管。長期保存不可。
  • 加熱,衝撃,有機物,硫黄,鉄粉等との混載を避ける
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 大量の水,泡消火剤で消火
  • 初期消火にはリン酸塩類等の粉末消火剤も有効

過塩素酸カリウム(KClO4)

分類  第一種酸化性固体
形状 固体(無色結晶または白色の結晶性粉末 指定数量 50㎏
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 610℃ 2.52
用途 酸化剤,爆薬・花火の原料,医薬品
性状
  • 水に溶けにくい
  • 強酸化性で、400℃以上の加熱により酸素と塩化カリウムに分解
  • 有機物,還元性物質,可燃物が近くにあると分解するが、塩素酸カリウムよりは安定
危険性
  • 燃焼により有毒ガスを発生
  • 可燃物と混在すると摩擦,衝撃,加熱で爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,ポリエチレンのビン等で貯蔵
  • 還元性の物質(特に赤リン,炭素)に接触させないように貯蔵
  • 加熱,衝撃,可燃物との混載を避ける
  • 火気厳禁
  • 無臭粉末のため、粉塵を吸引しない
火災時の
対応
  • 大量の水で消火
  • 初期消火には水,泡,リン酸塩類等の粉末消火剤も有効
  • 注水は遮蔽物を用いて行い、有毒水溶液が皮膚に触れないようにする

過塩素酸ナトリウム(NaClO4・H2O)

分類  第一種酸化性固体/過塩素酸塩類
形状 固体(無色結晶または粉末 指定数量 50㎏
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 482℃ 2.03
用途 酸化剤,爆薬・花火の原料,染料
性状
  • 水によく溶ける。エタノール,アセトンにも溶ける
  • 有毒で潮解性があり、吸湿すると多孔質に浸透
  • 強酸化性で、爆発性もあり、多孔性物質を爆発・炎上させる
危険性
  • 可燃物と混在すると摩擦,衝撃,加熱で爆発の危険
  • 燃焼により有毒ガスを発生
貯蔵・取扱
注意
  • ケミカルドラム缶,ガラス瓶、ポリエチレンドラム缶等で屋内に貯蔵
  • 潮解性のため吸湿させないように貯蔵
  • 加熱,衝撃,可燃物との混載を避ける
  • 火気厳禁
  • 有機物や金属粉と混合不可
  • ヒドラジン等との接触不可
火災時の
対応
  • 消火には大量の水,リン酸塩類等の粉末消火剤が有効
  • 注水には遮蔽物の陰から十分な距離をとって行う

過塩素酸アンモニウム(NH4ClO4)

分類  第一種酸化性固体/過塩素酸塩類
形状 固体(無色結晶) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 2.0
用途 酸化剤,マッチ,花火、医薬品
性状
  • エタノール,アセトンに溶けるが、エーテルには溶けない
  • 強酸化性で水に溶けるが、潮解性はない
  • 150℃で分解し酸素を放出。400℃で急激に分解し、発火することもある
危険性
  • 分解時に多量のガスを発生し、過塩素酸塩類の中で最も危険性が高い
  • 強酸との接触で燃焼・爆発の危険
  • 爆発時に生成物中に有毒ガス(塩化水素)を含み、危険
  • 可燃物と混在すると摩擦,衝撃,加熱で爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,金属製容器に密栓し、屋内の冷所に単独で貯蔵
  • 加熱,衝撃,可燃物の混載を避ける
  • 火気厳禁
  • 加熱により容易に爆発するため、温度の高くないところで保管
火災時の
対応
  • 大量の水での消火が有効
  • 消火時に燃焼ガスを吸入しないよう空気呼吸器等を使用
  • 爆発防止のため、遮蔽物を用いて消火作業を行う

過酸化カリウム(K2O2

分類  第一種酸化性固体/無機過酸化物
形状  固体(黄橙白色粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
490℃ 2.0
用途 酸化剤,漂白剤,殺菌剤
性状
  • 水と反応し熱と酸素を発生、酸と反応し過酸化水素を発生
  • 有毒で強酸化性である。潮解性があり、吸湿力が強い。
危険性
  • 大量の場合は、水と反応して爆発することがある
  • 有機物,可燃物と混在すると衝撃,加熱などによって発火爆発の危険
  • 燃焼により有毒ガスを発生
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,ガラス瓶に密封して、屋内貯蔵所に貯蔵
  • 加熱,衝撃を避ける
  • 火気厳禁,禁水
  • 有機物や可燃物,金属粉との混在不可
火災時の
対応
  • 消火には乾燥砂,膨張ひる石,炭酸水素塩類の粉末消火剤等が有効
  • 水,泡,強化液等を用いた消火は厳禁

過酸化ナトリウム(Na2O2

分類  第一種酸化性固体/無機過酸化物
形状 固体(黄白色粉末,純粋なものは白色粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 460℃ 2.9
用途 酸化剤,漂白剤,殺菌剤,防腐剤
性状
  • 水と反応し酸素,酸と反応し過酸化水素を発生
  • 強酸化性でオゾン臭のある有毒物質で、吸湿性が強く、爆発の危険性あり
危険性
  • 大量の場合は、水と反応して爆発することがある
  • 有機物,可燃物と混在すると衝撃,加熱などによって発火爆発の危険
  • 燃焼により有毒ガスを発生
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,ガラス瓶に密封して、乾燥状態で屋内貯蔵所に貯蔵
  • 加熱,衝撃を避ける
  • 火気厳禁,禁水
  • 燃焼・爆発を防ぐため加熱をさける
  • 有機物や可燃物,金属粉との混在不可
火災時の
対応
  • 消火には乾燥砂,膨張ひる石,炭酸水素塩類の粉末消火剤等が有効
  • 水を用いた消火は禁止

過酸化カルシウム(CaO2)

分類 第一種酸化性固体/無機過酸化物
形状 固体(無色粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 275℃ 1.70
用途 酸化剤,漂白剤,殺菌剤,試薬
性状
  • 強酸化性で水に溶けにくい
  • 酸と反応し過酸化水素を発生
  • 275℃以上に加熱すると、酸素を発生
危険性
  • 燃焼により有毒ガスを発生
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,ガラス瓶に密封して、乾燥状態で屋内貯蔵所に貯蔵
  • 加熱,衝撃をさける
  • 火気厳禁,禁水
  • 常に乾燥状態を保ち、異物との接触をさける
  • 有機物や可燃物,金属粉との混在不可
火災時の
対応
  • 乾燥砂,リン酸塩類等を使用する消火粉末以外の粉末を使用
  • 水を用いた消火は厳禁

過酸化バリウム(BaO2

分類 第一種酸化性固体/無機過酸化物
形状 固体(灰白色または白色粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 450℃  4.96
用途 漂白剤,過酸化水素の原料
性状
  • 水に溶けにくい
  • 有毒,強酸化性で、アルカリ土類金属過酸化物の中で最も安定
  • 熱水と反応し酸素を、酸と反応し過酸化水素を発生
危険性
  • 酸化されやすい物質,湿った紙や繊維素などと混在すると爆発の危険
  • 燃焼により有毒ガスを発生
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,ガラス瓶に密封して乾燥状態で屋内貯蔵所に貯蔵
  • 加熱,衝撃をさける
  • 火気厳禁
  • 水との接触不可
  • 有機物や(特に紙や繊維)可燃物,金属粉との混在不可
火災時の
対応
  • 乾燥砂,リン酸塩類等を使用する消火粉末以外の粉末を使用
  • 水を用いた消火は不可

過酸化マグネシウム(MgO2

分類 第一種酸化性固体/無機過酸化物
形状 固体(無色粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 不定
用途 酸化剤,漂白剤,殺菌剤
性状
  • 水には溶けないが、酸と反応し過酸化水素を発生し、強熱後、酸素を発生
危険性
  • 有機物などと混合し加熱または加熱すると爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 金属製容器に収納し、屋内貯蔵所で貯蔵
  • 他の類の危険物,ほかの物質との混在をさける
  • 異物との接触と過熱をさける
火災時の
対応
  • 粉末消火剤を使用し、窒息消火

亜塩素酸カリウム(KClO2

分類 第一種酸化性固体/亜塩素酸塩類
形状 固体(無色の針状結晶) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 350℃ 350℃以上 2.4
用途 塩素酸カリウムの原料,試薬
性状
  • 水に溶ける
  • 有毒で強酸化性,潮解性があり、非常に不安定
  • 加熱すると160℃で分解し、塩素酸カリウムと塩化カリウムになる
危険性
  • 燃焼により有毒ガスを発生
  • 可燃物と混在すると摩擦,衝撃,加熱で爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製容器に密栓して貯蔵
  • 摩擦,衝撃を避ける
  • 潮解したものが紙等に浸透すると発火の危険あり
  • 加熱により容易に爆発するため、温度の高くないところで保管
火災時の
対応
  • 消火剤としては水,霧状の水,粉末,二酸化炭素を使用
  • 消火時に燃焼ガスを吸引しないよう注意

亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)

分類 第一種酸化性固体/亜塩素酸塩類
形状 固体(無色結晶または結晶性粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 180~200℃ 2.5
用途 漂白剤,殺菌剤,水の精製
性状
  • 水に溶ける
  • 有毒で強酸化性を有し、吸湿性がある
  • 加熱により酸素を発生
危険性
  • 直射日光,紫外線,強酸により、分解時に爆発性の二酸化塩素を発生
  • 燃焼により有毒ガスを発生
  • 可燃物と混在すると、摩擦,衝撃,加熱で爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶や石油缶に収納し、屋内の冷暗所に貯蔵
  • 摩擦,衝撃を避け、有機物,油脂類,還元性物質との接触をさける
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 消火剤としては霧状の水,強化液,泡,リン酸塩の粉末等を使用
  • 燃焼ガスや加熱蒸発によって発生する有毒ガスの吸入に注意

臭素酸カリウム(KBrO3)

分類 第一種酸化性固体/臭素酸塩類
形状 固体(無色結晶性粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 350℃ 3.3
用途 分析用試薬,燃焼試験の標準物質,小麦粉改良剤
性状
  • 水に溶ける
  • アルコールに溶けにくく、アセトンに溶けない
  • 強酸化性を有し、塩素酸塩類より毒性が強い
  • 加熱により、融点以上で酸素と臭化カリウムに分解
危険性
  • 分解時に酸素を発生し、これが他の可燃物を燃やす
  • 有機物,可燃物,金属粉との混在で爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 石油缶に収納し、直射日光を避け屋内に貯蔵
  • 他の可燃性物質と混在せず、摩擦,衝撃を避ける
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 消火剤としては霧状の水,泡,粉末,二酸化炭素等を使用

過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4

分類 第一酸化性固体/過ヨウ素酸塩類
形状 固体(白色結晶または粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 –  300℃ 3.87
用途 試薬
性状
  • 水に溶ける
  • 酸化力が強く、アルカリ性を呈する
  • 加熱すると300℃で分解し、酸素を発生
危険性
  • 有機物,還元性の可燃物との混触は危険
  • 可燃物を混合して加熱すると爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • ビンに入れ、屋内に貯蔵
  • 可燃物,還元剤との接触をさける
  • 火気厳禁
  • 加熱,衝撃,摩擦をさける
火災時の
対応
  • 水,粉末,二酸化炭素で消火
  • 大量注水を行う

無水クロム酸(クロム酸,三酸化クロム)(CrO3)

分類 第一種酸化性固体/クロム等の酸化物
形状 固体(暗赤色針状結晶) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 196℃ 2.70
用途 合成化学用触媒,クロムメッキ,アセチレンの精製,医薬品
性状
  • 潮解性が強く、水,希エタノールなどに溶ける
  • 強酸化性で非常に有毒
  • 強く加熱すると、酸化クロム(Cr2O3)になり、酸素を放出
危険性
  • 有機物,可燃物との接触で激しく発熱,発火
  • 赤リン,アセトン,アニリン,ピリジンと混在すると発火の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,ステンレス製ドラム缶に収納し、低温で貯蔵
  • 水溶液は、耐酸ビン,耐酸ガラス瓶に収納
  • 水や可燃物との接触不可
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 注水して消火
  • 可燃物は除去

亜硝酸カリウム(KNO2)

分類 第一種酸化性固体/亜硝酸塩類
形状 固体(白色または黄色) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
441℃ 1.9
用途 ジアゾ化合物合成,食品発色剤,コバルトとニッケルの分離
性状
  • 水によく溶ける
  • エタノールには溶けにくいが、液体アンモニアにはよく溶ける
  • 有毒で酸化性と潮解性があり、空気中に放出すると徐々に酸化
危険性
  • 融点以上に加熱すると350℃で分解し、有毒ガスを発生
  • 吸湿性が強く、布,紙,可燃物と混在させると発火の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,ビン等に収納し、密封保管
  • 可燃物との混触,加熱・衝撃等による発火に注意
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 棒状の水,霧状の水による大量注水が有効
  • 泡,二酸化炭素も有効
  • 注水は安全な距離から遮蔽物を利用して行う
  • 保護具等を利用して作業

亜硝酸ナトリウム(NaNO2)

分類 第一種酸化性固体/亜硝酸塩類
形状 固体(白色または淡黄色の固体) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 271℃ 320℃ 2.1
用途 ジアゾ化剤,発泡剤,漂白剤,医薬
性状
  • 吸湿性があり、水によく溶ける
  • 潮解性を持つ有毒物質で、苦みがある
  • 乾燥空気中ではほとんど変化しない
危険性
  • 酸と接触すると有毒ガス(NO2), 二酸化炭素を発生
  • 可燃物,有機物,アンモニウム塩類と接触すると発火,爆発
貯蔵・取扱
注意
  • 吸湿し潮解しないよう屋内に保存
  • 紙袋等に入れて吸湿した場合、摩擦,加熱による発火に注意
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 大量の水での消火が最適で、強化液,泡を用いるのも有効
  • 二酸化炭素,リン酸塩類以外の粉末,ハロゲン化物は不可
  • 保護具着用

次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO)2・3H2O)

分類 第一種酸化性固体/次亜塩素酸塩類
形状 固体(白色粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 100℃ 2.7
用途 殺菌消毒剤,漂白剤
性状
  • 水に溶ける
  • 潮解性を持つ有毒物質で、強い塩素臭がある
  • 無水塩は不安定で、そのほかに1, 2.5,5,6,7水塩があり、普通は水溶液で使用
危険性
  • 150℃超で一時的に大量の酸素を放出し、燃焼,爆発
  • 有機物,可燃物との混触で発熱・発火
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶の中に密封して収納
  • 湿気を吸収し有毒ガスを発生するため、換気に留意
  • 外部に流出した場合中和剤(亜硫酸ナトリウム)を用いる
  • 加熱,摩擦,衝撃を避ける
  • 水に接すると分解し、酸素を発生するため禁水
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 霧状の水,二酸化炭素で消火
  • 保護具着用

過マンガン酸カリウム(KMnO4

分類 第一種酸化性固体/過マンガン酸塩類
形状 固体(赤紫色金属光沢の結晶) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 240℃ 2.70
用途 殺菌剤,酸化剤,漂白剤,消臭剤,染料
性状
  • 水によく溶ける
  • 無臭で甘みがあり、有毒で酸化力が強い
  • 加熱すると200℃で分解し、酸素を発生
危険性
  • 硫酸,過酸化水素を加えると爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶,石油缶に密栓し、直射日光を避け換気の良い冷暗所に貯蔵
  • 酸,有機物,可燃物との混触を避ける
  • 火気厳禁
  • 加熱,衝撃,摩擦を避ける
火災時の
対応
  • 消火には注水が有効
  • 消火剤は粉末,泡,二酸化炭素も有効
  • 消火作業中に十分冷却する

過マンガン酸ナトリウム(NaMnO4・3H2O)

分類 第一種酸化性固体/過マンガン酸塩類
形状 固体(赤紫色粉末) 指定数量 50kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 2.50
用途 殺菌剤,合成化学原料
性状
  • 水に溶けやすく、潮解性が強い。アンモニアにも溶ける。
  • 加熱すると170℃で分解し酸素を放出
危険性
  • 濃硫酸を加えると爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 可燃物,有機物,金属粉との接触を避ける
  • 火気厳禁。加熱,衝撃,摩擦を避ける
火災時の
対応
  • 消火には注水が有効
  • 棒状,霧状の水,強化液,泡消火器も有効

重クロム酸カリウム(二クロム酸カリウム)(K2Cr2O7)

分類 第二種酸化性固体/重クロム酸塩類
形状 固体(橙赤色結晶) 指定数量 300kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 398℃ 500℃ 2.69
用途 有機合成化学,防腐剤,顔料,写真,皮なめし剤
性状
  • 水に溶けるが、エタノールには溶けない
  • 強力な酸化剤で有毒であるが、用途が広い
  • 加熱すると500℃で分解し、大量の酸素を放出
危険性
  • 可燃物,有機物,還元剤との接触で発火・爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 石油缶等に入れ、高温を避けて屋内冷暗所に貯蔵
  • 可燃物,有機物,還元剤との接触は厳禁
  • 火気厳禁。加熱,衝撃,摩擦を避ける
火災時の
対応
  • 大量の水の放射が有効
  • 棒状,霧状の水,強化液,泡消火器も有効

重クロム酸ナトリウム(Na2Cr2O7)

分類 第二種酸化性固体/重クロム酸塩類
形状 固体(赤~橙色結晶) 指定数量 300kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 357℃ 400℃ 2.5
用途 顔料,皮なめし剤,酸化剤,触媒,染料
性状
  • 水に溶ける
  • 強力な酸化剤で吸湿性があり、有毒
  • 加熱すると400℃で分解し、大量の酸素を放出
危険性
  • 可燃物,有機物との接触で発火の危険
  • Al,Mgとの接触で発火の危険
  • 無水酢酸との接触で爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • ポリエチレン内袋に入れ、屋内に貯蔵
  • 可燃物,有機物,還元剤との混触は厳禁
  • 火気厳禁
  • 加熱,衝撃,摩擦を避ける
火災時の
対応
  • 大量の水の放射が有効
  • 棒状・霧状の水,強化液,泡消火器も有効
  • 注水は保護具を着用し、安全距離を確保

ヨウ素酸カリウム(KIO3)

分類 第二種酸化性固体/ヨウ素酸塩類
形状 固体(無色結晶) 指定数量 300kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 560℃ 3.9
用途 沈殿剤,分析用試薬
性状
  • 水に溶ける
  • 光沢を帯びた無色の結晶で、酸化力が強い
  • 加熱すると分解し、酸素を発生
危険性
  • 可燃物を混合して加熱すると爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 容器は密栓し、直射日光を避け屋内に貯蔵
  • 加熱,摩擦,衝撃を避ける
  • 火気厳禁
  • 可燃物,有機物との混合を避ける
火災時の
対応
  • 消火剤としては水,粉末,二酸化炭素が有効
  • 安全な距離を確保して、大量注水を行う

ヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)

分類 第二種酸化性固体/ヨウ素酸塩類
形状 固体(無色結晶) 指定数量 300kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 610℃ 4.3
用途 分析用試薬
性状
  • 特有のにおいがあり、水によく溶け、エタノールには溶けない
  • 加熱すると分解し、酸素を発生
危険性
  • 可燃物を混合して加熱すると爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 金属製容器に密栓し、直射日光を避け屋内に貯蔵
  • 加熱,摩擦,衝撃,湿気を避ける
  • 火気厳禁
  • 可燃物,有機物との混合を避ける
火災時の
対応
  • 消火剤としては水,粉末,二酸化炭素が有効
  • 安全な距離を確保して、大量注水を行う

硝酸カリウム(KNO3)

分類 第三種酸化性固体/硝酸塩類
形状 固体(無色~白色結晶または粉末 指定数量 1000kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
339℃ 2.1
用途 酸化剤,火薬減量,医薬品,肥料
性状
  • 冷感刺激性がある有毒物質で、塩味があり水によく溶ける
  • 強酸化性を有し、爆発の危険性あり
  • 加熱すると、400℃で酸素を発生し分解
危険性
  • 燃焼により有毒ガス(NOx)を発生
  • 有機物,可燃物,金属粉との混在で爆発の危険
貯蔵・取扱
注意
  • 異物が混入しないよう鋼製ドラム缶やブリキ缶に収納し、密栓する
  • 加熱,摩擦,衝撃を避ける
  • 空気中への漏えい,飛散を防ぐ
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 大量の水で消火するのが最適
  • 初期消火には棒状・霧状の水,強化液,泡,リン酸塩の粉末等を使用

硝酸ナトリウム(NaNO3)

分類 第三種酸化性固体/硝酸塩類
形状 固体(無色結晶) 指定数量 1000kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 306.8℃ 380℃ 2.25
用途 分析用試薬,火薬原料,肥料
性状
  • 潮解性がる有毒物質で、水によく溶ける
  • 強酸化性を有し、加熱すると酸素を発生し分解
  • 青酸化合物を混合すると爆発
危険性
  • 爆発すると有毒ガス(NOx)を発生
  • 可燃物と接触すると、発火して激しく燃焼
貯蔵・取扱
注意
  • 鋼製ドラム缶や石油缶に収納し、屋内に貯蔵
  • 加熱,摩擦,衝撃を避ける
  • 潮解性があるので、密栓する
  • 火気厳禁
火災時の
対応
  • 消火剤としては水,強化液,泡,粉末等を使用
  • 燃焼時に発生する有毒ガスを吸入しないよう注意

硝酸アンモニウム(NH4NO3)

分類 第三種酸化性固体/硝酸塩類
形状 固体(無色結晶又は結晶性粉末) 指定数量 1000kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 169.6℃ 210℃ 1.7
用途 火薬原料,殺虫剤,肥料,印刷材料
性状
  • 極めて吸湿性が高く、水によく溶け、メタノール,エタノールにも溶ける
  • 210℃で分解し、水と亜酸化窒素を生じ、さらに加熱すると急激に分解し窒素と酸素を発生
危険性
  • 加熱により分解,爆発し、有毒な亜酸化窒素を発生
  • 可燃物,有機物,金属粉との混合は爆発の危険
  • ほかの薬品との接触でアンモニアを放出
貯蔵・取扱
注意
  • 樹脂袋や紙袋に収納し、屋内に密栓して貯蔵
  • 潮解性があり、水分や湿気に注意
  • 加熱,摩擦,衝撃を避ける
火災時の
対応
  • 消火剤としては霧状の水を使用
  • 燃焼が盛んな時の注水は、硝酸アンモニウムを飛散させるので注意

二酸化鉛(PbO2)

分類 第三種酸化性固体/鉛酸化物
形状 固体(黒褐色粉末) 指定数量 1000kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 290℃(分解) 9.4
用途 蓄電池,顔料,抜染剤,殺虫剤
性状
  • 水,アルコールに溶けないが、多くの酸やアルカリには溶ける
  • 塩酸に溶け、塩素を放出
  • 加熱すると酸素を放出し四酸化三鉛になり、さらに加熱すると一酸化鉛になる
危険性
  • 鉛,鉛化合物は毒性が強く、取り扱いには十分注意
貯蔵・取扱
注意
  • 石油缶等に密閉して収納
  • 加熱,衝撃を避け、可燃物から隔離させる
  • 火気厳禁
  • 取扱作業中は粉末を飛散させないように注意
火災時の
対応
  • 消火剤は霧状の水,泡,粉末,二酸化炭素を使用
  • 消火作業中、有毒な鉛を吸入しないよう特に注意
  • 空気呼吸器等の保護具を着用

ペルオキソ二硫酸カリウム(K2S2O8)

分類 第三種酸化性固体/ペルオキソ二硫酸塩類
形状 固体(白色粉末または結晶) 指定数量 1000kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 195℃ 2.5
用途 漂白剤,重合剤,酸化剤
性状
  • 水にはわずかに溶け、熱水に溶ける
  • 100℃に加熱すると分解して酸素を放出し、酸化力が強い
危険性
  • 有機物,可燃物との混触は危険
  • 可燃物を混合して加熱すると爆発の危険
  • 熱水の溶けるとアルカリ性になり、人体に有害
貯蔵・取扱
注意
  • 容器は密栓し、冷暗所に乾燥状態で貯蔵
  • 可燃物,有機物との接触を避ける
  • 火気厳禁
  • 衝撃,摩擦を避ける
火災時の
対応
  • 水,泡,粉末,二酸化炭素で消火
  • 噴霧注水が有効

ペルオキソホウ酸ナトリウム(NaBO3・4H2O)

分類 第三種酸化性固体/ペルオキソホウ酸塩類)
形状 固体(白色結晶性粉末) 指定数量 1000kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 約60~65.5℃
用途 漂白剤,重合剤,脱臭剤
性状
  • 水に溶けにくい
  • 不安定な物質で、加熱後40℃で酸素を放出
  • 酸化性と潮解性を持つ
危険性
  • 有機物,可燃物との混触は危険
貯蔵・取扱
注意
  • 金属製容器に入れ、屋内に乾燥状態で貯蔵
  • 可燃物との接触を避ける
  • 火気厳禁
  • 衝撃,摩擦を避ける
火災時の
対応
  • 水,粉末,二酸化炭素で消火
  • 噴霧注水が有効

ペルオキソホウ酸アンモニウム(NH4BO3

分類 第三種酸化性固体/ペルオキソホウ酸塩類
形状 固体(無色結晶) 指定数量 1000kg
物性 引火点 発火点 融点 沸点 比重 爆発限界
 – 180℃ 2.30
用途 漂白剤,脱臭剤
性状
  • 水に溶ける
  • 加熱後、50℃でアンモニアを放出。さらに加熱すると酸素を放出
  • 酸化力が強い
危険性
  • 可燃物と混合すると容易に発火
貯蔵・取扱
注意
  • 金属製容器に密栓し、冷暗所に乾燥状態で保存
  • 異物の混入を避ける
  • 火気厳禁
  • 加熱,衝撃を加えない
  • 濃硫酸等と接触不可
火災時の
対応
  • 水,粉末,二酸化炭素で消火
  • 大量注水が有効
  • アンモニアガス発生による中毒に注意